老い人の住む家らしく秋簾
河口暮れそろそろ寂し鯊釣も
萩の花褪せゆく日々の静心
秋の日とまだまだ呼べず上着脱ぐ
歳時記に秋秋秋と飽きるほど
毒よりもセシウム怖し茸類
よくもまあ真緑の顔してバツタ
風つよき夜の稲の音懐かしき
よく見れば雲霞かはいい顔し居る
いつからか案山子を我の如く見る
鹿垣の戸をしつかりと閉めてゆく
小旅にて鳴子の音も似つかはし
秋の川ともに心は流れゆく
下り簗あの熊本の昼餉時
小鳥来てホームの端に誰の目も
大空に投網のごとき椋鳥ら
鵯として生きゆくも忙しく
とりあへず林檎買ひ置く習ひなり
庄屋らし石榴立派に門守る
柿赤く成りきらぬうちにすべきこと
太秦の牛祭待つ間の饂飩
無花果を買ふのはなにか阿保らしく
この先は山葡萄実る傾斜とぞ
あこがれのごとき通草の色握る
冬瓜を今日は戴く贅沢に
大和路の此処にも野菊また野菊
運動会軍艦マーチ許されよ
五十四で逝きし去来の忌の句なり
体育の日と重なりて西虚子忌