結局は鮭に落ちつく魚売場
鰯かと思ふ気持ちが邪魔をする
さういへば秋の海など見ぬまゝに
太刀魚の骨が嫌ひで肉を買ふ
曼珠沙華かたまつてゐる村はづれ
橙の鶏頭に見惚れ立ち止まる
紫苑好む人のわびしき訃報来る
竜胆の花にはすぐに飽きるたち
失ひしものさらさらと秋の水
颱風を兎にも角にも言い訳に
迸り淀み静まり秋出水
初月にブラックチョコのふたかけら
頁繰る夜学子のごとく一生を
平成やみづから夜なべなどしをり
ことばより花野はじまる町住まい
選集は廊下の隅に西鶴忌
帰りにはステーキがよし生姜市
七草を覚えるやうなことが下手
日めくりのごとく芒のひと叢を
なにとなく楽し尊し刈萱は
大げさなことが嫌ひで女郎花
野紺菊あの紫がわかるかな
オナモミを背につけられて帰り来る
一階の寝起き嬉しき虫時雨
新涼やスマートフォンの着信光
秋めいて信号の青の鮮やかさ
白露との思ひもなくて征露丸
見えずとも天の川てふ語ある国
レアチーズケーキよろしき秋の風
なんとなくご愁傷様休暇明