蓬莱の只中にゐて此の処暑も
藤圭子死す朝顔の凋む頃
きもだめしし足りぬまゝに秋学期
山小屋をわざわざ訪ねカップ麺
海といふ黒一色に花火船
西瓜割り遠き帆にまで見られゐて
夏枯れの山より便り来て豪雨
台所廊下階段秋めきて
稲妻の近づく気配ヴィヴァルディ
つつましく淡くきれいに鳳仙花
白粉の花の娘に給仕され
西瓜安き日に持て余す重さかな
ふたかけも食べて南瓜で終へる夜
刀豆のかたち楽しむまゝ買はず
そのままを先ず食べるもの新豆腐
韮の花このやうな生でよかつたか
大ぶりを嫌へばカンナ避けてゆく
稲の花咲くか咲くかと田に向かふ
赤まんまこれが意外に艶つぽく
いざ使ふ時にはまよふ鳩麦は
送火をいつまでも見てゐる子らと
新豆腐どこらあたりで取れる新
秋扇にならつてこれは秋エアコン
庭木刈る粛々と亦シャキシャキと
さういへば何処に見ゆる青瓢
泡立草これがなかなか好きな草
クランベリーハックルベリーも季語だつて
桔梗いつも買はずに他家の庭に見る
山葡萄採らなくなつたはいつよりか
萩好きのゆゑの道草この旅も
鳳仙花色の薄きを愛ではじむ