冬座敷まだ誰も来ずうとうとと
炭をつぐこの一時の贅沢や
襟巻を大切に巻く可愛い子
マスクして冬野もどこか暖かし
信号待ちしてゐるわれと白菜と
クリスマスじつは楽しむ男なり
社会鍋渋谷に暮れるこの年も
ボーナスに縁なくなりて渡世かな
粕汁は好物にして深夜まで
寄鍋をひとりの夜にたゞ思ふ
初氷するどき心保つべし
鴛鴦の二羽ゐるゆゑの寂しさよ
冬帝のひしひしと腰に染みてくる
冬の空あつけらかんと澄みわたる
水鳥は水鳥として暮れにけり
息白く駅頭に待つ楽しさよ
冬木立むかし昔の物語
枯木とは美しきものか歳月も
冬ざれを見に来いといふ見に行くよ
白菜を老いゆくわれは好みゆく
嫌ひでもなけれど好きでもなきおでん
焼芋を買つていかうか午後三時
女ゐてひそかにともに湯豆腐を
今晩は蕎麦湯がやけに旨いよね
眠る山つらなる景よ行く汽車よ
赤坂や狸出てまた引つ込んで
都鳥また東京の冬を見に
裸電球浴びて山なすずわい蟹
ハタハタの塩つぱさに進むにごり酒
冬籠る口実とせむ冬至来る