夏めくや静かに試練受ける肌
思ひ出の彼方の人と麦めしと
牡丹園われら疲れるいとまなく
街から街新樹続けばどこまでも
若楓盛時の今を揺れてをり
葵祭神田祭と畳みかけ
母の日は不愉快になる息子われ
軽暖ともいふが薄暑のほうが好き
新茶古茶むかし縁側ありし頃
柏餅ふたつすぐ喰ふ三つまでも
かけられし幼時の期待鯉幟
子供の日子供のなきも故ありて
余花なれば見つめぬもよし過ぐもよし
袷着て夕餉ののちを花めぐり
葉桜の深くなりゆく早さかな
色の濃き矢車菊を去りがたし
筍のここもむかふも異形なり
そら豆の添へられてゐる嬉しさよ
花みづきバス通りまで数へゆく
アカシヤのかをり降りゐる曲り角
昼薔薇に飽きて夕薔薇深夜薔薇
卯の花に似てひそやかに幸せに
売り声の楽しさもあり初鰹
高原のレストランなれば虹鱒も
草笛も吹くべしビル群遠き原
うんざりとなるほどの皐月まだ皐月
どことなく一流ならぬ躑躅花
マーガレット満つ庭もかつて持ちてゐし
折れず倒れず雛罌粟に学ぶこともあり
この時期は鯖ピチピチと張りつめて