2015年4月3日金曜日

十六夜のジントニック

ジャケットに未だ出番の来ぬ九月

ピンと来ぬ二百十日といはれても

颱風の来る気配のみでまた終る

なにもかも休憩したし野分後

秋出水歴史のやうに濁りたり

お誂へむきの三日月ビル群に

秋の宵なれば寄りたき店いくつ

萩だけはかならず触れていく男

来はしたが中休み長き小台風

色かたち楽しき甘藷今日も買ふ

十六夜のジントニックをもうひとつ

子規の忌のさつぱりと青く晴れ上がる

宵闇の猫の尻尾の先動く

朝霧になにか待たれてゐるごとし

蜉蝣のいのちの後の夕餉かな

むしろ大気揺れてゐるらし秋の蝶

秋簾はたはたと鳴り留守の家

秋彼岸遠く小さき寺に行く

いつよりか秋分の日さへ勤めにて

青空にコスモスありて目を瞑る

我亦紅つひには触れることも止め

ねこじやらし繁りてをれば何か好し

台所に転がしておく秋の茄子

紫蘇の実のつぶつぶを洗ふこと難し

山積みの生姜をひとつふたつ買ふ

貝割菜マイブーム来てまた過ぎて

一年中使ふとはいへ胡麻は秋

玉蜀黍今年も食べず買ひもせず

日暮れまで鯊釣りて影となりて立つ


秋鯖を選べばまづは過たず