原爆忌団扇は白きものがよし
枝先に青柿見える露天風呂
料亭に根まで美し布袋草
ひとときを睡蓮の紅に吸はれをり
強すぎる赤にも慣れて百日草
東京の想像力の天の川
文字通り言葉の通り墓洗ふ
会ひたしよ燈籠に似あふ幽霊に
盆踊りひとりふたりと吸はれゆく
大文字始まるまでを大の字で
正午からもう落ち着かぬ大花火
蜩に心ひとりにされる庭
みんみんと朝から啼かれ起される
炎天に焼かれるために生まれ来し
昼寝起ふしぎや世界未だあり
日向水ゆらゆら生きること許せ
日盛りを山寺までの幾十段
冷蔵庫にゅっと立ち居る夏厨
子供には子供の事情水遊び
水中花先ず思ひ出すプルースト
川床に乱れぬ裾の清々し
泉殿遠巻きにしてジャスミン茶
衣紋竹まるで楽屋のやうな日々
汗の香もさぞや馨し上布着て
甚平の今年は二千十三年
脛濡らす夏の露にて御座候
涼しさにちよつと値の張る休憩処
問題は滝までの径の暑さかな
岩魚焼くひとときこそが旨き酒
夕立の過ぎれば次は豪雨とか
青ぶだう乳房肉叢備はりて
現代つ子と侮るなかれ兜虫
玉虫はさすがに見ない六本木